さくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ」において、WordPress の「WordPress アドレス」と「サイトアドレス」をhttp://example.com/
からhttp://example.com/
に変更してアクセスできるようにするための手順について記します。
なお、本文中のhttp://example.com
はあくまでも例ですので、ご自分の WordPress の URL、/wp
のようなディレクトリ名は、実際にインストールしているディレクトリ名に読み替えてください。また、本文中の URL と画像の URL が異なっていますが、これも適宜読み替えてください。
動作を確認した環境等
以下に記す手順は、以下の環境等で動作を確認したものです。
- サーバ環境は、さくらインターネットの「さくらのレンタルサーバ」スタンダードプラン。
- MySQL のバージョンは、5.5。
- WordPress のバージョンは、さくらのレンタルサーバの「クイックインストール」の機能でインストールされたバージョンは、4.4.1。その後ダッシュボードで最新版の 4.5.2 にアップグレード。
- WordPress のテーマは、Twenty Sixteen。
- WordPress を新規にインストールした直後に URL の変更を実施。
この手順は何度か繰り返して同じ結果が得られたものですが、同じ「さくらのレンタルサーバ」スタンダードプランであっても、同じ結果が得られる保証はまったくありません。
また、今回の例では「WordPress を新規にインストールした直後」に実施しており、記事が蓄積した稼働中の WordPress では検証を行っていませんので、ご承知おきください。
想定範囲
この手順で想定するのは、以下の範囲です。
サーバコントロールパネル
さくらインターネットの「サーバコントロールパネル」では、以下を想定しています。
WordPress のダッシュボード
WordPress のダッシュボード(管理画面)の一般設定では、WordPress アドレスとサイトアドレスがともにhttp://example.com/wp
になっている。
情報収集
WordPress Codex 日本語版のWordPress を専用ディレクトリに配置する、WordPress の引越しおよび他の解説サイト等で、URL 変更の作業の流れ、リスク等の情報を収集したことがある。
WordPress のアクセス URL 変更の目標
この手順で行う WordPress アクセス URL 変更の目標は以下のとおりです。
- WordPress アクセス URL を
http://example.com/wp
からhttp://example.com
に変更し、http://example.com/
でアクセスできるようにする。 - WordPress をインストールしたディレクトリ(例えば、
~/www/
)を変更しない。 - WordPress をインストールしたディレクトリにある
.htaccess
およびindex.php
をサイトのドキュメントルート(例えば、~/www/
)にコピーしない。
アクセス用 URL 変更の考え方
現状の整理
さくらのレンタルサーバのスタンダードでは、初期ドメインの他に 2 つまでサブドメインを申請・登録することが出来ます。レンタルサーバの「サーバコントロールパネル」にある「ドメインの設定」では、各ドメインのパスを指定することが出来ます。
初期ドメインについてはパスは/
に固定されており、その配下のディレクトリに変更することは出来ません。この/
は、Web サーバーのドキュメントルートであり、~/www/
を指します。したがって、初期ドメインの URL でアクセスした時は、~/www/
にあるindex.html
, index.php
等が読込・表示されることになります。
「追加したドメイン」の場合は、パスは/
のまま運用することも可能ですし、/html
のようにディレクトリを指定することも可能です。/html
の指定は、上記の初期ドメインの場合と同じように~/www/html/
を指し、「追加したドメイン」のドキュメントルートは~/www/html/
になります。
例えば追加したドメインがexample.com
の場合、パスに/html
を指定してサーバーに反映されると、それ以降はhttp://example.com/
を指定してアクセスした場合、ドキュメントルートである~/www/html/
にあるindex.html
とかindex.php
にアクセスします。その上位である~/www/index.html
にはアクセスできません。
さくらのレンタルサーバの「クイックインストール」で WordPress をインストールすると、WordPress のインストールスクリプトによって「WordPress インストール先」のディレクトリ(例えば、~/www/
)にアクセス制御である.htaccess
を作成しています。本来のドキュメントルートである~/www/
には.htaccess
は作成しません。
また、ドメインexample.com
のパスを/wp
に設定して「クイックインストール」の機能で WordPress をインストールする際に、インストール先をhttp://example.com /
に指定すると、エラーになり、次のステップに進むことが出来ません。
ドメインexample.com
のパスを/wp
に設定した状態でインストール先をhttp://example.com /wp
にすると、実際に WordPress がインストールされるディレクトリは、~/www/
になってしまいます。
これらのことから、さくらのレンタルサーバのクイックインストールの機能で WordPress をインストールする際は、ドメインexample.com
のパスは/
のままにし、「クイックインストール」のステップでインストール先をhttp://example.com /wp
に指定してインストールするのが良いのではないかと思います。この方法であれば、WordPress のファイルは~/www/
に配置されます。
アクセス用 URL 変更のための手順
WordPress のバックアップ
まず最初に、万一に備えて現状のバックアップを取ることが大切です。
バックアップの対象は、WordPress がインストールされているディレクトリ、およびその配下のファイルファイルすべて。そして、WordPress で使用しているデータベースのバックアップです。バックアップの経験がない方は、WordPress Codex 日本語版のWordPress のバックアップが参考になるかと思います。
必須ではありませんが、WordPress がインストールされているディレクトリ(例えば、~/www/
)にある以下のファイルのコピーをローカルのコンピューターに保存しておくと、URL の変更前と変更後の比較ができるのではないかと思います。
.htaccess
index.php
wp-config.php
バックアップが終了したら、次のステップへ進みます。順序を間違えると、WordPress にアクセスできなくなりますので、注意が必要です。
- WordPress の設定変更
- レンタルサーバの設定変更
WordPress の設定変更
- WordPress のダッシュボードにログインして設定-一般をクリックし、一般設定の画面を表示します。
WordPress アドレスとサイトアドレスの末尾にある
/wp
を削除してhttp://example.com
にします- アドレスの修正が終わったら、画面最下部の変更を保存をクリックします。
- このようなエラー表示の画面になりますが、アドレスを変更したことによる一時的なエラーですので、心配する必要はありません。ただし、この画面では何も操作しないでください!
- これで WordPress の設定変更は終了しましたので、次のステップに移ります。なお、WordPress がインストールされているディレクトリ(例えば、
~/www/
)にある.htaccess
をサイトのドキュメントルートのディレクトリ(例えば、~/www/
)にコピーする必要はありません。
レンタルサーバの設定変更
- サーバコントロールパネルにログインし、ドメイン設定カテゴリのドメイン設定をクリックします。
- WordPress をインストールした「追加ドメイン」の変更をクリックします。
- 現在の指定フォルダは
/home/アカウント名/www/
になっていますが、WordPress を実際にインストールしたディレクトリ(例えば、wp
)を入力します。上記のWordPress の設定変更の 2. で削除したディレクトリと同じ文字を入力します。 - 入力したディレクトリ名に間違いがないことを確認した後、画面最下部の送信をクリックします。
- ドメインの設定が完了するとこのような画面になりますので、ドメイン一覧へ戻るをクリックします。
- WordPress をインストールした「追加ドメイン」のパスが上記で設定した
/wp
になっていることを確認します。
これでhttp://example.com/
のドキュメントルートを~/www/
に設定できました。この URL でアクセスすると、~/www/
にある.htaccess
を参照した後、index.php
が読み込まれます。そのため、.htaccess
およびindex.php
を~/www/
にコピーする必要はありません。
新しい URL で WordPress にアクセス
- Web ブラウザのアドレス欄に WordPress の新しい URL である
http://example.com/
を入力してアクセスしてみます。 - アクセスできました。では、次にダッシュボードにログインしてみます。ダッシュボードの新しいログイン URL は
http://example.com/wp-login.php
ですので、これでアクセスします。
アクセスできました。これで WordPress にアクセスする URL の変更作業は終了です。
なお、今回の例では「WordPress を新規にインストールした直後」に実施しています。記事が蓄積した稼働中の WordPress では検証を行っていませんので、ご了承ください。
最後の確認
無事 WordPress の URL を変更できたと思いますので、もう一度サーバコントロールパネルで WordPress の情報を確認してみます。
ここに表示されている内容は、さくらのレンタルサーバが提供している「クイックインストール」でインストールした際に、「クイックインストール」のプログラム(またはスクリプト)がこのようにデータを登録しているのだと思います。
この画像にはアンインストールがありますが、ここでアンインストールする時は「インストール先」のディレクトリ名を参照するようです。この「アンインストール」の機能を利用して WordPress をアンインストールした時、
ことがあります。
ここに表示されている「インストール先」のディレクトリ名は実際に WordPress のファイルが配置されているディレクトリ名と一致していますので、「アンインストール」の機能を利用して WordPress をアンインストールした時、WordPress の各ディレクトリとファイルが削除されます。ただし、アンインストール後は、WordPress をインストールしたディレクトリが削除されていることを確認したほうが良いのではないかと思います。
次に URL についてですが、WordPress のアクセス用 URL をhttp://example.com/
からhttp://example.com/
に変更しましたので、ここに表示されている設置 URLと管理画面 URLは実際のものとは違います。しかし、「アンインストール」の機能を利用して WordPress をアンインストールする際は、この URL は支障にはならず、WordPress のディレクトリ(例えば、~/www/
)およびファイルは削除されますし、アンインストールした WordPress の情報も、この画面から消えます。
URL 変更後の WordPress の URL は、
ということを、自分が分かっていれば良いと思います。
さくらのレンタルサーバで WordPress のアクセス URL を変更したら、うまくWordPress にアクセスできなくなり困っていました。こちらのサイトで無事解決できました。大変助かりました。ありがとうございます!!
【気になった点】
サーバコントロールパネル
の
2. 運用に便利なツール-クイックインストール-インストール済み一覧で以下の様な情報が表示されている。
に
—-
インストール先:http://example.com/
—-
とございましたが、
—-
インストール先:http://example.com/www/
—-
でないかと思います。(“www”が抜けている。)
返信が大変遅くなりました。申し訳ありません。
お役に立てたようで何よりです。
コメントありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。
> インストール先:http://example.com/
はよく見ると「インストール先:~/www/wp」が正解ですね。
ご指摘ありがとうございました。修正しました。
さくらのレンタルサーバーのWordPressのURLの変更方法の情報がなかなか見つからなくて、こちらのサイトに書いてある通りにさせて頂いたら出来ました!
本当にいい記事を書いて頂いてありがとうございます!
お役に立てたようで、何よりです。
ただし、現在はさくらインターネットさんが「さくらのレンタルサーバで WordPress をドメイン直下にインストールする」のように対応されましたので、この記事よりもスマートにインストールできます。